キミに言えないことがある
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キミに言えないことがある

もふもふ枝子

間違いも失敗も悪いことじゃない

ネタバレ
2024年11月19日
このレビューはネタバレを含みます▼ 明るくて細やかな気配りのできる椎名恭介と陰キャで不器用な雨宮佳純とは小学生からの幼馴染です。かつて佳純が思い切って恭介に好きだと伝えた時、恭介は「それは恋じゃない。勘違いだ」とそっと拒否したのでした。厳格な父親の下で育った恭介はゲイであることは間違ったことであり、そんな自分のせいで大切な佳純を間違わせてはいけないと考えたのでした。二人は顔を合わせ辛くなり、心破れた佳純は人妻との不倫に走ります。恋人ができたことで、恭介と佳純は再び友達付き合いを始め、恭介は何とか不倫をやめさせようと心を砕くのですが、一度恭介に拒絶された佳純は耳を貸しません。離婚した両親のどちらからも見捨てられた佳純を最初に受け入れてくれ、いつもそばにいてくれた恭介は、佳純にとって好きを超越した絶対の存在でした。その恭介を失った大きな穴は何をしても埋められないと人妻にフラれた佳純は思い知ります。人妻との不倫というのに引っかかってしまいますが、じっくり読むと恭介の仕事やそれぞれの生い立ちなど生きてゆく上で出逢う否応無い理不尽と、それをも覆す相手への想いの強さが力強く描かれています。強いようでゲイである自分に自信を持ちきれない恭介と、不器用な佳純との両片想いが成就するまでのお話です。
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