このレビューはネタバレを含みます▼
面白かった。贅沢三昧な愚王が攻めに倒され、愚王に侍っていた寵童の受けは愚王の墓守の体で独り立ちできる金とともに放逐される。しかし三年後貧しい生活をしながら本当に墓守を続けていた受けを攻めが城に連れ帰って交流が生まれ、愚王の置き土産を見つけたりする。為政者としては失格だったが、受けには優しくて親のような存在だった愚王への複雑な感情の描写や、愚王の残した謎解きの描写が面白かった。裏切り者の貴族の前で二人が即席の一芝居を打つシーンも好き。攻めは受けに惚れているから勝手にドキドキしたり照れたりしているのに、これが男を堕とす手練手管なのか!と受けのテクニックだと誤解しているのも面白かった。攻めが受けに告白する時の、苦しくて、苦しくて、早く楽になりたい、こんな色ボケ男、ひと思いに殺してくれと堪らず口から溢れたような様子も好き。攻めは未経験なので初キスで歯を当てるし、受けを百戦錬磨なプロだと誤解しているので「私に手ほどきをしてもらえないだろうか。哀れな男に情けをかけるとでも思って…お前を満足させられるように私も精進するから」と素直に教えを乞うのも最高に良い。