インザケージ
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インザケージ

左藤さなゆき

印象をガラリと変える描き下ろしが見事

2024年11月23日
由緒ある家柄のαの兄弟に愛された一族の邪魔者Ωが幸せになるまでのお話。
αの兄弟の執着愛という帯の煽りの割に、兄弟の決着はあっさりでした。弟の衛司は、陽のことを好きだと言いつつも、いつも陽を蔑ろにし、我慢させてばかり。陽の為に全てを捨てて、陽の為に全力を注いだ兄の廉司には勝てるはずがないのは明らかでした。一緒にいた時間に陽の気持ちを奪いきれなかった衛司が選んでもらえるはずもなく、ただただ廉司が一枚上手なことを実感するのみでした。
本編では、陽が幸せになれて良かったと思ったところで終了でしたが、描き下ろしでは見方が一変。イアンの言うように、どちらが囚われ囲われたのかと思わせる内容だったことで深みが増したような気がしました。オメガバースの世界だと、常にαの方が優位に立っているような印象ですが、Ωの魅力に囚われ、Ωの為に全てを傾けるαの姿を見ると、どちらが狂わせているんだろうと考えさせられました。こういう描き下ろしの方法は斬新で、とても印象深くなりました。二人の蜜月ぶりと共に、愛について深く考えさせられる作品です。
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