Kの支配者
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Kの支配者

奥田枠

卵が先か鶏が先か…究極の思考をロック

ネタバレ
2024年12月10日
このレビューはネタバレを含みます▼ 作者買いです。テーマやジャンルが違えど、毎話私の思考をしばらくロックする作者様です。タイトルと表紙…支配下にいるのは一目瞭然で晃なんだと連想するけど、1ページ目からそのKがアレなんで…何故そうなったのかを晃の証言を元に紐解いていく。
Kはお願いという形の圧と指示がまかり通る環境で育ってきたからか、支配して当然という思考。それでも晃と出会う前はその支配欲は分散されていたように思う。晃にロックオンしてからは見えない鎖で繋ぎ止めた。晃にはめた鎖の先を辿れば自分が繋がっているのに。その時点で対等に狂気しか残っていなくて、どちらが支配者なのかは愚問である。卵が先か鶏が先か…この2人には破壊の共依存しかないので、共に長く生きる選択肢がない。短く過ごした濃厚な日々を終わらせる手段が、空が大きく見えるガラス張りの部屋で晃が羽ばたくこと。Kのサディスティックなエゴイストぶりと、晃への解放のサイコパスぶりに鳥肌がたつ。
そしてそれを涙さえ浮かべて読み耽る私。完璧に思考をロックされてずっと考えている。同級生として出会わなくても、例えば戦時中であっても…性別異なって出会ったとしても…この2人なら同じ運命辿りそうなので、やっぱり「同じ時代に生まれたら避けられない」とまで考えて燃え尽きました。
願わくばKと晃が転生した先で幸せでありますように。
K「の」支配者…奥が深い。
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