敗北魔王、勇者の末裔と500年後の社会復帰
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敗北魔王、勇者の末裔と500年後の社会復帰

あかつき雨垂/相葉キョウコ

ファンタジーとテクノロジー

ネタバレ
2024年12月11日
このレビューはネタバレを含みます▼ とても面白かった。魔族と人間の戦争から500年。勇者に封印された魔王の刑期が終わって、勇者の末裔の攻めが魔王の社会復帰をサポートすることになる。スマホや車などの現代のテクノロジーと魔法が合わさった世界観が面白かった。電気の代わりに魔力が使われている感じ。洋ドラだとか翻訳小説のようなジョークや皮肉の混じった会話も愉快で楽しかった。中世ファンタジー世界から一気に現代にタイムスリップした状態の魔王受けは看護師を下男と呼んだりスマホを分解しちゃうし、御伽噺のような古風な言い回しがチャーミング。魔王様が一般人として生きるために現代に適応していく様子が楽しい。そんな姿を見て、子供の頃に絵本で読んだままの恐ろしくて強大な魔王だったら『悪』として憎んでいられたのに…と情が湧いてしまう攻め。魔王と人間側の板挟みになっている攻めが、それでも魔王には嘘をつかずに受けの味方だと言った言葉を守り通したのも良かった。攻めの勇者のスキルがとても御伽噺的でロマンティックだったのも好き。攻めの姪っ子のエピソードも好きだった。真面目な両親とは違って面白くてちょっとワルな叔父さん枠って憧れる。そして500年経ってもなお残る人間と魔族の溝、人種差別と社会問題というテーマも現代的でファンタジー世界との組み合わせが面白かった。
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