心を殺す方法
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心を殺す方法

カシオ

コントロール不可能

ネタバレ
2024年12月14日
このレビューはネタバレを含みます▼ 共依存というには重すぎる関係の2人でした。幼い頃から心を壊されてきた光が穏やかな春樹に惹かれるのは秒だったし、それが春樹への激しすぎる執着に変わっていって、どんどんそれに引きずりこまれて心身を壊してしまう春樹。なんでそうなる?なんでその選択?って思うんだけど、何度も読んでみて、2人にとってはコントロールできるものでもなく、初めから選択肢はなかったかもしれない、と思うようになりました。諦観か適応か、心も身体も壊れているはずの終盤の春樹はまた穏やかな顔をしています。そんな春樹をかわいいと言って変わらず執着している光。2人が罪の意識を共通言語にした後ではもう英さんという選択はなかったのは当たり前だと思いました。全部遅すぎた。あそこで手を離してしまうような英さんが後で一緒になったとして、あの春樹をまるごと愛し抜くのはどっちみち無理だったんじゃないかな?まともな愛を望む人間にとってハードルが高すぎます。読みだしたらじわじわと読者もコントロール不可能にしてしまうようなカシオ先生。インモラル大好き、壊れた人を美しいと思ってしまう私にとっては惹かれてやまない名作です。
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