金の絵筆に銀のパレット
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金の絵筆に銀のパレット

ARUKU

独自の世界と温かい心情が描かれてる

ネタバレ
2024年12月15日
このレビューはネタバレを含みます▼ 人同士の心と心の触れ合いがあり、悲惨な事の多い時代を生きて、色々な思いを胸に抱いている人達の気持ちが、言葉だけでなく情景や作品全体からも表れていて、読んでると心に沁みてくるような作品。瀕死の時に、何度も窓辺に来る人に想いを募らせるシーン、自らも死と隣合わせの状態で話し掛け続ける様子が、グッときます。外部の混沌や雑音から離れた、苦しみを胸に抱える二人だけの心が触れ合う静かな時間。外部では厳しさ、悲惨さばかりで否応なくそれに巻き込まれていくけど、あそこにだけは、相手だけを想う優しくて人らしくて温かい気持ちの触れ合いがあり、そこで相手へ惹かれていく。苦しくて温かい場面だった。桃里が、優しくて儚くて可愛くて、まさにその人を守りたい、その人の為に生きたいと思わせるような、作品にピッタリなキャラそのもので、素敵だった。なので、彼が話し、動く度、それを見て烏羽が心を震わせる度、二人の世界が美しく儚い世界観を作り出し、印象的で余韻がありました。独自の世界観を作り出す表現力があり、心情も丁寧に描かれて感涙するような素敵な作品。最後には、心に温かいものが残るハピエンの良いお話でした。
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