このレビューはネタバレを含みます▼
世の中にはいろんな人がいて、それぞれ違う考えを持っている。いろんな価値観がぶつかり合い、時には命をかけて証明することもある。そう、この時代の命はとても軽い。現代人から見て、驚くほど簡単に人が死ぬ。身分差というルールを知らなかっただけで殺され、出産で死に、怪我で死に、貧困で死に、子供は田んぼにはまっただけで死に、所属した県が立場を変えただけで皆殺し。ついでに言うと、不倫も死刑。そういう時代。ただの血の気の多いやからの集まり。実際、新撰組にそういう悪口もあったと思う。けど、彼らにはそれぞれ心に正義があった、希望が、志しがあった。我々は彼らの頃よりずっと平和で命の危険もない安全な暮らしをして、学びの機会も知恵もたくさん簡単に得ることができる。それは、この時代の人たちが命がけで後世のために、これから生まれてくる子供たちが笑って過ごせるように、と作ってくれた幸いなんだよね。なのに、資本主義の名の下みんな心をどこかに置き去りにしてきてしまった。どうしてこうなってしまったのか。虚しいほどに志しは枯れ、希望は空っぽ。人のために、誰かのために、命をかけ、手間をかけ、時間をかける人なんていない。家族ですら他人より薄い縁。この作品で当時の人の熱い想いに触れて、読んでて胸が熱くなる。こんな人がいたんだ、こんな人たちが今の豊かさを作ったんだ、と感謝も深まる。けど、物質の豊かさとは裏腹に心は貧しくなってる気がしてならない。そんな現代で、心の豊かさを思い出させてくれた。漫画としても、めちゃめちゃ良かった。めっちゃ面白かったなー!DAYSも大好きだったけど、さすが安田先生と思わずにおれない。様々な人の思惑と心のありようの違いを、誰も否定することなくすばらしく描かれていました。ホント胸が熱くなる。大変良い作品をありがとうございます。新撰組好きだからエネッチケの大河も見てたけど、ミブロとは違う視点でしたね。歴史もの興味ない人には難解かもしれませんが、読んでいけば人物も把握できるし歴史にも強くなれて、お得!鴨がもー渋い、泣かせる。笑いながら号泣したわ。