吸血鬼には向いてる職業
」のレビュー

吸血鬼には向いてる職業

榎田尤利

主人公の性格と吸血鬼の切なさと

ネタバレ
2014年8月17日
このレビューはネタバレを含みます▼ 2つの話が入っています。
主役である新人編集者の野迫川が実に良いです。
オタクでしつこいのはともかく、この男あらゆることに動じずへこたれません。
吸血鬼発見<原稿という何よりも原稿第一な編集者の鏡!
お陰で自信家でむちゃぶりの瑞祥のシナリオは思い通りにいきません。

「吸血鬼にはむいてる職業」
吸血鬼通り魔事件や、野迫川のお婆ちゃんの死を交えつつ、野迫川が瑞祥のお食事になってしまうまでのお話です。
血が最も甘くなる瞬間がエロ的なアレというお約束なのでお楽しみあれ。
こちらではまだラブは明らかになっておりません。

「吸血鬼には銀のナイフを」
私はこっちの話がお気に入りなのです。
吸血鬼を退治する力を持つダムピールの存在を通して、吸血鬼を退治する方法が明らかになります。
『吸血鬼を消滅させうるものーーそれは唯一、愛だけだ』という冒頭の言葉が核になって野迫川は否応なく巻き込まれて行くのですが……
ゴスちゅるを通して滲み出る吸血鬼の想いや瑞祥の本音とか、所々切なさが溢れてきます。
切ない話は好きじゃないですがハッピーエンドならまあ有りといいますか。
愛も生まれますぜ!
野迫川がナイフを振り上げた時の瑞祥の台詞がとてもとてもぐっときます。

何度も読みたいオススメの一冊。後書きなしの407pです。
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