能美先輩の弁明
」のレビュー

能美先輩の弁明

大麦こあら

言葉の重み

ネタバレ
2025年1月2日
このレビューはネタバレを含みます▼ 連載が始まるやいなや爆発的スタートダッシュを記録した人気作…なるほど評価が高いのもわかります。

正直ストーリーは一般的なBL作品とそう変わらないスタンダードな流れだと思うのですが(互いに気になる→ひとまず身体の関係→ハマりそうになるが誤解が生じて疎遠に→誤解が解け超らぶらぶ&感情のこもった情熱的な営み)、何がこの作品に深みを与え感動を呼び起こすかといえば…テーマである“哲学“が大きく関与していますよね。
哲学は自分たちとはかけ離れた難しいお話でもなんでもなく、身の回りの出来事や考えに問いを立て突き詰めていく生き方のことだから…
そんな生活としての哲学を取り入れるだけではなく学問として専攻している、むしろ愛しちゃってる能美や丹だから不思議と言動に説得力が生まれるし適当に聞き流せなくなるし…だからこそ丹が能美から逃げたり能美がクズムーブをかましたところで本当の意味では落ちぶれないだろうなと謎の信頼感を胸に彼らの「寄り道」を追うことができた。
ノンケとゲイ。恋の大怪我をしたくないばかりになかなか核心に触れられなかった2人だけれど、自分とは正反対な存在(能美/丹)を愛していると認める=魂の片割れを見つけたっていうことなのかもしれないな…なんてニーチェぶって考えてみたくなる、そんな作品。
こあら先生は表紙と内容の絵にややギャップがあるのでちょっと手を出しづらかったのですが、この作品をきっかけに既刊を漁る楽しみができました、ほくほく。
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