深海のヴィーナス
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深海のヴィーナス

定広美香

ヴィーナスの失われた両腕

ネタバレ
2025年1月3日
このレビューはネタバレを含みます▼ 「ヴィーナスに接吻」の続編。
ミロのヴィーナスのように、トマの失われた腕に関するストーリー。
2人で1人と言い切るほどの都とトマの激情愛に、金持ちの樹が絡んでくるとか…面白くないわけがない。

愛しているからこそトマを壊したい都(痛々しい致しシーンあり)と、都と一緒なら死んでもいいトマ、すごい共依存。
樹目線で、それこそ命をかけた、究極的な2人の愛を見せつけられた。
そこに割り込もうと頑張る樹は憎たらしいのに、意外に純愛で素直になれないかわいい奴(?)で、何故か最後は応援してしまった…不思議。

ミロのヴィーナスは失われた腕にリンゴを持っていたとも言われているらしい。
腕がないからこそ、その存在の想像を掻き立てられる。
トマにとって海は死でもあるが、生でもある。
ラストにその海を持ってくるとは…一体トマは、このあと都とどうなってしまうのか。
色々と想像して楽しんでいる。
(ちょっと樹のその後も気になる…)
先生、また描いてくれないだろうか。

定広先生は目の描き方がとても印象的で、トマの右目のホクロのチラリズムがすごい!見たいのに、髪が邪魔して見えそうで見えない…。
その隠れがちな右目のホクロを正面に持ってきたカットがあり、素晴らしくてゾクッとした。
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