パリのクロッシェレース ドイリー:アンティークを知る、つくる、使う
」のレビュー

パリのクロッシェレース ドイリー:アンティークを知る、つくる、使う

福島明子

かぎ針編み経験者でアンティーク好きな方に

2025年1月13日
131ページ。
「知る、つくる、使う」とあるように、「つくる」だけの実用手芸本ではなく、レースの歴史とか著者のパリエピソード読みものや、実際に使用した写真などが収録された、総合本です。
その中でも「つくる」の分量は多く、40点の編み図が掲載されているというのは、なかなかお得な気がします。アンティークレースのデザインは、現在のものとはまた違った雰囲気があり、それが40点も実際に編めるというのは素晴らしいです。そこは星5つ。あれもこれも編んじゃうぞ〜!
〜〜〜〜〜
注意点は以下。「多くの編み物本にある、編み方の基礎は載っていない」「使用糸、使用編み針も載っていない(サイズは書いてあるがあくまでアンティークレース実物のサイズである)」「表紙のドイリーの内、上から2番目と3番目の編み図は載っていない……ってかクロッシェレースではなくボビンレース(立ち読みで見られる中扉の繊細なレースもクロッシェではなく、別の技法。もちろん編み図は載ってない)」
……と、上記注意点をまとめると、編物実用本としては中途半端(材料や基礎を載せていない)、また、実際に作れるのは確かに「クロッシェレース」ではあるものの、読み物や表紙にクロッシェ以外のものを載せているので、タイトルに違和感があります。なぜわざわざタイトルに「クロッシェ」を入れてしまったのか……。そのあたりで星マイナスですが、編み図の掲載されているドイリーはステキデザインが多く、アンティーク好きでレース編み好きには満足度の高い一冊になると思います。
〜〜〜〜〜
で、さっそく96ページ掲載のオーバルのものを編んでみたんですが。奥付けに「一部の作り方は編みやすいように翻訳しています」との注意書があるように、実物と編み図にズレがあります。最終段の編み方は「間違い」に近いと思います(実物写真見て編み方変えました)。また、よく見ると本体部分ネット編みの増やし方も実物と異なります。ドイリー説明で「幻のオーバル」「美しいオーバル」と形を大絶賛されているにも関わらず、その形に影響を及ぼす部分を編みやすさのために変えてしまうとは……全体写真もドイリー単独ではなく中心部が隠れているため、写真をよく見て実物に近付けるのも厳しい(私にはできない)……ある意味読者にとっても「幻」のオーバルドイリーです。
けどオーバルの編み図は珍しく、出来上がりもかわいく、おすすめです。
いいねしたユーザ2人
レビューをシェアしよう!