イグナートの花嫁【単行本版(シーモア限定描き下ろし&特典付き)】
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イグナートの花嫁【単行本版(シーモア限定描き下ろし&特典付き)】

もりもより

竜に嫁ぐ身寄りのない少年

ネタバレ
2025年1月31日
このレビューはネタバレを含みます▼ 竜の呪いと呼ばれる鱗のような斑紋のあるリタは、両親を亡くし身寄りも無いため、雪山に住むと言われる竜の花嫁を志願します。竜の呪いのせいで村のどこにも居場所の無かったリタは、二度と戻ってはこれない掟の下に雪山に入ります。そこで厳しい吹雪で遭難しかけたところを竜の尻尾を持つ男性に救けられます。彼こそが竜の血を引く最後の一人•イグナートでした。強過ぎる竜と人間とは交わることができないため、イグナートの母親は人間でありながら竜の身体の一部を摂取し竜化してイグナートを産んだのでした。しかし竜化は非常に難しく、変化に耐えられずに死んでゆく花嫁達もいました。イグナートはリタに違う村に行くように勧めます。村ではたった一人の友達を除いていつも独りぼっちだったリタは、イグナートの想像を絶する孤独を知ってそばにいたいと、危険を顧みずにイグナートの鱗を砕いて飲み干すのでした。やがてリタが忘れてしまいたいと願ったたった一人の友人との偶然の再会を経て、イグナートとリタ、それぞれの気持ちが少しずつ寄り添い始めます。ラブな展開は2巻以降になるようです。人外花嫁ものの大筋は変わりませんが、繊細な線、豊かな表情、丁寧に書き込まれた背景や小物など異国情緒溢れる美しいファンタジーです。イグナートは完全人型、人型尻尾付き、完全竜型の3フォルムです。
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