このレビューはネタバレを含みます▼
試し読みで続きが気になり購入しました。
顔にノイズが入って認識できず、人との関わりを避ける鳥住悠陽と、鳥住が唯一顔を認識できる兎川壱月の相互救済ストーリーです。
過去が、過去がさ…個人的にこの世で許せないもののてんこ盛りで、正直ラブどころではありません。もっと早く虐.待に気づいていたら、周囲の大人が窘めていれば、医療や福祉に繋げていれば…と怒りと悲しみでいっぱいになりました。
PTSDとしての相貌失認(推定)と人格形成を歪めた責任は、ゲロごときじゃ取れないんだよ。そもそも人の人生を狂わせた責任は取ることができないんだから、せめて被害者に会わないよう生涯にわたり配慮するか、最初からやるなという話。
加害者は加害者で親の言動を真似してるであろうことも、暗澹たる気持ちにさせられます。親の写し鏡とはまさにこのこと。大人の噂話からいじめが発生したりもしますからね、倫理を教えられる大人でありたいものです。
兎川母のその後や、町を去った兎川さんがどう生きてきたのかまではわかりません。しかし、手に職をつけ、同僚やお客さんに慕われる兎川さんのこれまでの歩みを思うと、涙が出ます。どんなに暗い過去があっても、光ある方へ歩んでいけるのが強さであり、希望なんだと改めて思いました。