愛しものに蓋
」のレビュー

愛しものに蓋

ヲリコリコ

カースト上位受け特集から生まれた

2025年2月6日
1ページ目、眞白くん(受)の「俺はもう まともな恋愛はできないんだろうな」から始まる、乾ききってパサついた絶望の味わいが最高で…!この最初のがバチッと効いて、一軍の男子高校生らしい浮ついた交友関係がでてきても、眞白くんの『陰』が強調されて、大変に素晴らしい。秒で分かるBLアンソロジーの「カースト上位受け」というお題に対して、『眞白くん』という〝カースト上位男子になんて、なりたくないのに、成らざるを得なかった不憫で努力家で優しい子〟を出してきたヲリコリコ先生。ドストライクです…、眞白くんが不憫かわいくて、読んでて胸がギュンギュンしました。
一冊通して、眞白くんが救済されていく過程をじっくり堪能できて、読後の「はぁ〜〜」と息つく満足感。読み終えた翌日にレビューを書いていますが、まだ余韻が消えません。攻めの時鷹の設定が、またいいんですよ。登場シーンの背中丸めたボサボサ頭、せっかく高身長でスラッと手足が長いのに、姿勢悪く俯いて陰気さと不気味さしか初対面の印象に残らない残念さ。幼い頃からの彼を知っている眞白くんに、(変わらない)と思わせる人間としての不器用さ。〝以前の眞白くんを知っていて、今の眞白くんに近づける〟のは、転校生であり幼馴染みである時鷹でないと成立しなかった。眞白くんは、時鷹に救済されるべくして救済されたんだなあ。
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