毒を喰らわば皿まで
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毒を喰らわば皿まで

十河/斎賀時人

私も毒を喰らわば〜の精神で5巻を待ちます

ネタバレ
2025年2月17日
このレビューはネタバレを含みます▼ 善と悪が表裏一体となったような重厚なストーリーでした。主人公はさながらサイコパスのような情け容赦のない性格をしていて、合う合わないが大きく分かれそうです。それでも彼なりの正義はあって…善悪・白黒など区切る事のできない、多かれ少なかれ私達も経験したような「誰も悪くないのに何故か揉める」絶妙な人間関係や感情の渦に巻き込む圧倒的な力に引き込まれました。
絶体絶命・崖っぷち・四面楚歌の状態から自身の頭脳だけを武器に形成逆転に挑むアンドリム。日記(手紙)の一部を抜き取って全く違う意味にする、誤解を招く言動で釣る、故意に聞かせる(または聞くよう仕向ける)など、小細工から心理戦まで見どころだらけでした。
ストーリーとしては1巻完結と見なして良いと思います。2巻からは、終盤からラストまでの端折られた部分の話になります。内容がかなり独善的で凄惨な面があると思うし、アンドリムのキャラもアクが強すぎて受け付けない人が一定数いそうなので、1巻(無料)を読んで相性を見ることをお勧めします。正直、私は1巻を読んで気が抜けてしまい、続きを読む気力が衰えてしまいました。でも4巻揃えてしまっていたので、よろめきながら読みました。
結果、2巻も入り組んだ人間関係と秘められた事象・事実の数々を突き詰める作業は、唸るような面白さでした。事実上、1巻完結と見なして良いと思いますが、1巻では明かされなかった重大かつ驚愕の真実が出てくるので、無理でなければ読んでもらいたいです。(もしかしたら、続きを書く為の後付けかもしれないので、余裕があれば…くらいの気持ちで)読まなくても大勢に影響はないくらいの真実だと思います。
3巻は、2巻よりももう少し多めに1巻の後日談みたいな話がありました。具体的にはお子ちゃまとマラキアの事など。3巻も相変わらず作り込まれた謎と真相は面白かったのですが、敵に対する非道っぷりも変わらずでした。
4巻まで来ると、良くも悪くもアンドリムの思考や行動に慣れてきて、綺麗めに終わると思ったストーリーも、ポストアンドリムキャラ達の台頭で、結局、4巻通して無慈悲さの滲むものになっていた気がします。
レビューを書く時になって気づきましたが、幸か不幸か完結になっていません。ここまで来たら、5巻が出たら必ず読むつもりです。
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