いろはむらさき
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いろはむらさき

芽玖いろは

江戸文化人たちの苦悩と情熱

2025年2月20日
吉原で本屋を営む出版人蔦屋と絵師歌麿が江戸で美人画を有名にするまでのお話。
いつもBLでお世話になっている作家様の歴史モノの作品、ストーリーは色恋ではありませんが、だからこその興味で購入しました。お話自体は江戸時代の文化人らしさがとてもよく表現されていて、お上との対立や文化人としての華やかさ、絵や本にかける意気込みなどが随所に描かれていて面白かったです。用語の解説などからも分かるように、とても良く調べられて勉強されたのが伝わります。ただ、史実にとても忠実な分、テーマとして伝えたいこと、描きたいことが薄れてしまったような気がします。蔦屋の本屋としての矜持、歌麿の絵にかける心意気など、もっと彼らの情熱に焦点を当てて、そのパワーでストーリーが展開されれば、受け取る側の読者にももっと印象に残る部分があったように感じました。改めて、こういうお話の難しさを実感したと共に、BL以外にチャレンジしてくださった作家様の向上心に感謝します。また面白いお話を描いてほしいです。
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