つまさきの紫陽花
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つまさきの紫陽花

aioiuo

自分だけの宝物と不変の居場所

ネタバレ
2025年2月21日
このレビューはネタバレを含みます▼ あまりにお人好しで真っ直ぐで料理上手で大木みたいな あお×元モデルで花屋でバイトしている太陽みたいに元気な想のお話。

都心から離れ例え親戚中から反対されても見つけた、昔ながらの日本家屋でどちらかの帰りを穏やかに待ち、季節を感じながら1日1日を暮らす2人の温かい時間を我々は見させてもらうんですけど、本当に心温まる1冊です。
単話から1冊になるのをずっと待ってて、読ませてもらったんですけど、本当に、本当に良い…

最初3話は既に恋人同士で同棲済みの2人を見させてもらえます。残り4話は2人が出会う話。
2回くらい、あおの足の指が傘だったりヒールだったりに踏まれて彼の爪が紫陽花色になっちゃうエピソードは、想の亡くなった祖父との思い出に繋がり、そしてあおが想に恋していく話にも繋がっていって本当に隙がないんですよね…
恐らく想の祖父は冒頭にセリフだけ合った、あおが勤める企業の本社の元会長なんじゃないかな…と思う。
想のご両親は既に他界していて、祖父に引き取られ育てられてきた中で、幸せだけど漠然とした寂しさを抱きながら祖父が大切にしている花々に囲まれ想は育ってきたんだろうな…
そしてあおは、5人兄妹の家に生まれ育ってきて、父母に大家族で一人ひとり接してもらえる時間があまりない中でもキチンと育ててもらって、その中であおが家事だったり洗濯だったりを恐らく小さな頃から手伝ってきたから一軒家で一人暮らししても完璧に家を守れる術を持ってて、節約だとか貯蓄だとか、仕事も相まって20代最後に自分が望んだ自分だけの空間を手に入れて。妹が4人も居たから淋しくなかったのかもしれない。けれど心の平穏を自分だけに使いたかった時間を、自分が気に入った家を買ったことで取り戻せたあお。

想の太陽みたいな性格は、ご両親と祖父によって大切に育まれた結果だと思うけれど、自分が大切な人たちは去っていってしまう寂しさから不変を願うのは自然だよね…だからこそ、あおが先住人から引き継いだ家を気に入るのも必然だよね…
これ1巻だよ…2巻見たら私の情緒どうなってまうの…多幸感凄すぎて呆然ですわ……良い。大変良いものを見させてもらいました…
2巻、楽しみに待ちたいと想います。
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