艮(うしとら)
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艮(うしとら)

山岸凉子

合わない部分もあるけどすごく好きな部分も

ネタバレ
2025年3月3日
このレビューはネタバレを含みます▼ 207ページ。
ホラー3作+エッセイっぽい1作の、4作入り短編集。発表年は、2014〜2021年。
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・『艮(うしとら)』表題作。およそ80ページの中篇。「インチキ霊能者」と、その担当編集者(こっちが主人公)の、鬼門にまつわる心霊話。心霊部分はおもしろいんですが、私はこの主人公が苦手……恩知らずって言うか、自分勝手って言うか……。
・『死神』看護師の語る、「お迎え」にまつわる話。
・『時計草』あの世に踏み込んだ様子の話。これが一番ホラーっぽくて良かった。
・『ドラゴンメイド』中世ヨーロッパの伝説(クードレット作『妖精メリュジーヌ伝説』)にまつわるエッセイ漫画。この伝説、日本昔話の「鶴女房」とかに通じる異類婚姻譚で、とても好きです。電子本もありますので、興味のある方は是非!その関連で、『ベリー公のいとも豪華なる時祷書』にもふれられており。この時祷書、ものすごく美しく本当に豪華で、NHKの日曜美術館で取り上げられたこともあるので、視聴の機会のある方は是非是非!
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この作者さん、捻くれ者にはどうも素直に受け入れられない部分が根幹にあります。いささか説教っぽい思想があるのに、表題作の主人公のような性格の人が善人寄りの描かれ方で出てくることが、どうにも自分の中でうまく消化できません。
けど今まで読んだいくつかの中では好きな作品もあるので、自分好みを探してまだ読みます。電子化万歳。
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