このレビューはネタバレを含みます▼
新卒社会人3年目のリーマン日野晃と車椅子の作家•石月晴人のお話。同棲2年目の二人は、下半身マヒの晴人を晃が献身的に支えています。晴人がまだ健常だった学生時代の二人の姿を交えながら、現在と過去とが同時に進んでゆきます。世界中を放浪する晃、在学中に新人賞を獲った晴人、夢も希望も満ち溢れていた恋人たちの人生が、晴人の事故をきっかけに大きく変わってしまいます。そして過酷な今が綴られます。下半身の感覚が全く無い晴人の生活が非常に重く、身体の不自由が心の自由まで奪ってしまう描写がリアルで読んでいて辛いです。そして世界一周を夢みていた晃を縛り付けているという罪悪感から、晴人はついに別れを切り出すのでした。普段の生活では考えることもない生きることの大変さ、有り難さ、困難さ、そしてそこから日常の小さな喜びが鮮やかに浮かび上がってきます。エロなし(不可能)で、キラキラ系BLとは一線を画す作品の元となった読み切り版は『#BがLする4ページアンソロジー〜好きがあふれて止まらない!』で読めます。