このレビューはネタバレを含みます▼
とても初コミックスとは思えない仕上がりでした。1巻は種蒔き…攻めのもはや執着とは言えない粘着&強すぎる想いは、執念を感じさせるインパクトがありました。
2巻からはタイトルにdeeperの文字が増えて芽吹から成長へ…deeperの意味がよく分かる内容でした。ここで「higher」と上を指す単語ではなく「deeper」を使うことで、例えば深海のような暗さや、土の中のような根深さみたいな、何となく負のイメージを連想させるというのがポイントだと思います。
2巻までくると執念だって可愛いもので、憚る事なく言ってしまえば殆ど「ストー◯ー」ですよ、一舞。いや…対象は直斗限定なので、彼の名誉の為にも良く言えば「善良なストー◯ー」ですかね。
一舞の深く強すぎる想いが大きくなるに従い、着実に直斗にも変化が訪れます。その事を何気ないシーン(44ページ・中段)の言葉と絵でやんわりと、でも明確に心情を表す手法が秀逸でした。
⚠️ネタバレ注意…「対等になれる気がしない」という言葉に、綺麗に割り切れなかった割り箸の絵を当てているところ。
3巻では、揺らぐ事ない大樹になったかのように…更にパワーアップした一舞には、正直引いてしまいました。読んでる時は第三者目線で「ゾクッ」で済んでた体感も、これがもし私に向けられていたら?と考えると「ゾッ」としました。
周りから見たら「異常」な状況もお互いが納得した上で必要としていて、いつしか常態化したならそれは「日常」になるのでしょうか。完全なハピエンとは言えないような、限りなくハピエンに近いメリバのような、不思議な読後感になる作品でした。