あおのたつき
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あおのたつき

安達智

冥土の遊廓とお稲荷様

ネタバレ
2025年3月20日
このレビューはネタバレを含みます▼ 幻想的な和の世界と緻密な描写が素敵な作品です。
冥土の花街にあるお稲荷様。そこに引き寄せられるのは、心にわだかまりを持ったまま死んで成仏出来ない遊女たち。生前は売れっ子遊女だった“あお”や宮司の楽丸が、原因となるわだかまりを解き、魂を導いていきます。
私は主人公あおのサバサバした性格と気っ風の良い物言いが大好き。清々しくなります。今はわけあって子供の姿になっていますが、生前の彼女は売れっ子遊女の“濃紫”。その頃から姉御肌の性格はずっと変わりません。悩みを打ち明ける仲間や禿にかける言葉も心に染み入るようで、私自身もちょっと前向きになりました。
なかなか現金で底抜けに明るく見える彼女ながら、その過去と命を落とした原因は壮絶です。ひょんな事から稲荷の社で楽丸の相棒を務めることになりましたが、実は彼女自身もわだかまりを抱いた遊女の一人。彼女もいつか救われて欲しい…。
絵柄はとても味があり、まるで昔の絵双紙を見ているよう。時に美しく、かわいらしく、また時にはおどろおどろしい描写もある。
そして何と言ってもお稲荷様自身である鎮守の姿がワンちゃんにしか見えなくて愛おしすぎる…!あおにも“ワン公”と呼ばれていますが、本当はお狐様なんですよね(笑)。
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