ナイトガーデン 完全版
」のレビュー

ナイトガーデン 完全版

一穂ミチ/竹美家らら

タイトルを纏ったような内容が素晴らしい

ネタバレ
2025年3月25日
このレビューはネタバレを含みます▼ 『ふったらどしゃ降り〜』スピンオフであり和章の救済ストーリー。前作もそうでしたけど、今作もタイトルと本文との関わりが濃密で奥深くて、かなり読み応えがありました。

「出会うはずのなかったものが出会ったのなら、それは出会うべくして出会ったのと同義なのだろう」とは、大いなるパラドックス・矛盾でありながら、真理・真実でもある…植物の世界においては、事実として存在すると知り、宇宙の理を聞いたような感動がありました。

他にも植物関係で、「連理の枝」の解釈・意味合いは知っていたけど実在するものを見たことはなかったので、調べてそれらの写真を見た時の感動もなかなかでした。同じように「根上がり」は、言葉も何も知らなくて調べて驚きましたし、それらの姿・様子が本当に本文そのままを現しているようで、景色が目に浮かぶようでした。

読者を巻き込むというか、和章と柊と同じ空間にいて、同じものを見ていると錯覚するくらいにストーリーに浸る事ができる力に圧倒されました。

「とげ」「(色々な意味の)緑」などのキーワードが、何回も様々な場面で活かされていて、それぞれのキャラの心理描写にも深く関わっていて印象的でした。

ただ一つ、何とも言えない後味の悪さみたいなものを感じてしまう事があって…前作にも居ましたが、脇の脇でありながら重要人物である「女」の言動・行動が、どうにも許せないんです。BLに出てくる嫌な女が苦手な人には(地雷までいかなくても)厳しいかもしれませんので注意が必要かもしれません。
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