このレビューはネタバレを含みます▼
もうすぐ読み終わるという時点で、こんなことレビューに書きたいなとかぼんやり考えていた。
それが最後の最後、6ページのエピローグを読んだことで、全てがひっくり返り頭が真っ白になってしまった。
当事者がそれを望むならとか、
パートナーもそれを尊重したのならとか、
スイスの例の団体が認めたのならとか、
何かそういうの全て書きたくない。ってことを書いておきたい。(読後すぐなもので支離滅裂ですみません)
人が1人死ぬって、当たり前だけどやっぱりとんでもない事なんだよ。
尊厳死について考えるとき、いつも最後まで答えを出せずに終わってしまう。
ALS患者の自◯幇助で逮捕された医師のニュースを見た時とか、がん末期患者の痛みを想像する時とか、ものすごく複雑な気持ちになる。
でももし家族が望んだら…まずは全力で止めてしまうだろう自分が想像できる。エゴだと言われようが当人に恨まれようが死なせるものかって思うとおもう。
でもその先は?やっぱり分からない。
だから当事者になるまで何も言えません。
この作品はBLジャンルのようですがそれに収まりませんね。
涙の跡も胸の痛みもしばらく消えそうにないですが読まなきゃよかったとは思っていません。
平凡な日々がどれほど幸せなことだったかを回想するハルトと共に泣き、同時に自分にも戒めました。
自分がそばにいたいからそうしているだけと、アキラは序盤から言っていたけど、その気持ちは嘘ではなかったと思います。
でも先輩の助言がそれを更に強めてくれたと思います。
「思い描いていた未来を諦めたことも事実」と口に出来たこと、1人の時間に昔のような旅をしたけど、思うのはハルトのことばかりだと気付いたこと。
この気付きはアキラにとってものすごく重要なことだったんじゃないかな。これに気付かないまま「ハルト好き好き」だけで一緒に居続けたとしたら、もしかしたらいつかどこかで心が迷子になったかも知れない。先輩すごく重要な役だったなと。
このままスイスに行かずエンドにもできたのにそうしなかった作家様。正直とても辛かったのですが、2人に刻まれた皺と触れ合う手に、長い間愛し愛された生活を送れていたのだと確信しました。
難しいテーマの作品を描ききって下さりありがとうございました。
(何も言えないと言いながら長々と…😓失礼しました)