月光坂の花屋敷
」のレビュー

月光坂の花屋敷

木下けい子

読み込む程深く濃く沈み込むような重めの話

ネタバレ
2025年3月28日
このレビューはネタバレを含みます▼ 先生の作品の中では重めの方かもしれません。そして業とか欲とか、込めた想いに濃さ・深さを感じました。最低でも2回は読まないと充分な理解は難しいと思いました。

なぜなら、分かったつもりで(同じ所を何度も読んだり戻ったりしながら)読み終えて、レビューを書く段階になって気づいたのです…タイトルに「春」「秋」と付いてることに。それを踏まえて読み返してみると、また少し違ったイメージを持ちました。

ぶっちゃけ「春」の持つ明るいイメージは全くなく(と私は思う)2冊を通して秋〜冬のイメージが強かったです。しかも、どちらかと言うと1・2巻で季節が逆な気がしました。それでも1巻が「春」というのには、先生としては理由があるんですよね。

だとしたら…遠い春の訪れを待つ固い蕾のように(今はまだ寒いけどこの先の暖かさを予見させるような)逆説的な表現をしたかったのでしょうか。それとも単純に物語の中の季節の話でしょうか。どんな意味があるにせよ深く考えさせられる事に変わりなく、どんな思いを抱くかは人それぞれで…そういう書き方・読ませ方ができるのは素晴らしいと思いました。
いいねしたユーザ1人
レビューをシェアしよう!