このレビューはネタバレを含みます▼
まずは先生に新作と完結の感謝を。
あとがきで先生も仰っていたように、この作品はイラスト効果がかなり強いと思いました。まるで写真のように精緻で美麗なイラスト。細部まで拡大して堪能してしまいました。細かいところで言うと、どちらも鼻筋が通っているけど、鹿倉は真っ直ぐでゼロの方は中程で少し盛り上がりがあるんです。そんな微細な点まで描ききる腕に感動しつつ読み始めました。
前情報から今作で完結と知っていて楽しみにしていましたが、出だしでカワウソ(早苗)が出てきた所からワクワクしましたし、何をやらかしてくれるのだろうと期待でニヤニヤしてしまいました。その後もカワウソ関連のアレコレは、作内キャラ達だけでなく読者の癒しでもあると思いました。
今回は見どころが多くありましたが、一番は読者の好き嫌いに関わらず桐山関係でしょうね…変態なのは充分理解していたつもりが、それでも更に上を行かれて「擬似◯らないと出られない部屋」イベントが始まった時は、主役級(もしくは以上?)のインパクトにクラクラしました。変態桐山ここに極まれり…変態の最終形態を見た気分です。主従関係にあるイトウも強烈でした。
桐山にしてもカワウソにしても、前三作に比べて笑えるまではいかなくても頬が緩むシーンが多かった気がします。当初からあった裏社会や闇社会の昏い面を見せながらも、どことなく光が差すような明るさがあるように感じました。
そこで出版順に並べてみてびっくり。表紙の雰囲気が①夜から②夕焼け(朝焼け?)③朝方の明るさ(昼)④桜へと変遷していました。四作めの桜…季節は春。明るい印象しかありません。
最後はだいたい予想通りだったけど、思いもかけない展開もいくつかあって、ちょいちょい裏切られるのも面白かったです。暗闇から明るい陽の光の下へ来れた二人を見届けられて幸せです。