このレビューはネタバレを含みます▼
トラウマを抱えた人気者男子高校生と芯のある隠れイケメンが、苦楽を共にし立ち直っていく物語。
うわーすごくよかったです。
時鷹…初登場時、ムーブが一瞬座敷女かと思いました…(ごめんなさいわからないですよねドラゴンヘッド作者さまの昔の作品なんですけれども)
それにしてもエチの実況中継にはワロタ。笑える状況でもないのに「目ぇ閉じないで!俺の顔だけ見てて!」ってちょっとスポ根も入っててwww
先生のセンスには前作ですでにこれでもかというほど魅了されたし今作も安定の素晴らしさではあったけれど…眞白の両親…なんじゃありゃ。
逃げてしまった父は論外、母は旦那の浮気を機に母じゃなくて女のよくない顔が出ちゃったんですな…眞白より先にすでに彼女が心に蓋をかぶせていて、たった一度、それが酒の力で吹っ飛んだとともに情までひっくり返っちゃって…その強烈な毒を一身に浴びた眞白。慢性的な中毒を起こす前に時鷹が解毒してくれたからなんとか立ち直れたものの…あれはなるよね、トラウマに…
般若のような哀しい女と目の前の優しい母親とのダブルバインドに苦しむ様子や、こびりついた脳内親にしてやられている時の虚無顔…誰にも言えない閉塞感。沈黙を駆使し、恐怖心がうまく表現されています。
モサっとしたビジュアル的にも、読む前は時鷹が心に蓋をしている側だと思っていたので、そこの意外性もかなりよかったです。傷ついた眞白をひっそりと照らす、太陽のような時鷹。眞白セコムをデフォで発動している大学生編も楽しみ(勝手な希望)。
いやあ、ぶっ飛び気味のギャグをさりげなく織り交ぜてくださったから詰まることなく読み切ることができたけれど、眞白の過去は軽くホラーでした…父よ…情けない自分の代わりに息子を犠牲にしちゃあかんし、母は息子を旦那に見立てちゃあかん…向き合うべきは自分と自分の伴侶だったね。
眞白の頑張りと時鷹の活躍により、同性だから交際禁止とはもはや言えなくなったご両親。
眞白は眞白で人の多面性を学んだだろうし、両親は両親で高校生にして悟りの境地に至った息子とその彼氏時鷹に、ラブとはなんぞやというところを一から教えてもらうことになるのではないでしょうか。