被写界深度
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被写界深度

苑生

ヒリヒリの上巻、キラキラの下巻

ネタバレ
2025年4月16日
このレビューはネタバレを含みます▼ 一言で言うとトラウマ救済系ですが全編通して良い意味で軽いので心がズーンと沈まない、爽やかで瑞々しい読後感。キャラの性格、纏う雰囲気がそうさせるのかどこかシュールでシニカルな世界観、表情や台詞にユーモアが丁度いい塩梅で効いています。本編終了後の余韻さえ楽しめました。月並みですが映画を一本見た後のような。
早川の幼少期~中学時代の体験は苦しくて辛いものでしたが、彼の家族、とりわけ母親が理解者でいてくれて本当に良かった、救いでした。家族まで否定的だったらしんどすぎて読めないところでした。だからこそ早川は音楽を捨てきれなかったのかな。個人的な意見ですが早川闇落ち時代の奔放さは「トラウマの再演」と考察します。「クセ含めて好きになってくれる人」=紺ちゃんに出会えて良かったね。
出会った頃から一貫している紺ちゃんの落ち着きっぷりは一体何なのでしょうか。人生何週目なのでしょうか。紺ちゃんさんとお呼びした方がいい?紺ちゃんさんの安定感とグルグルしている早川の対比の描写が上下巻通してまた素晴らしいのです。そしてシンプルに早川のキャラデザがすごく好み。綺麗な輪郭とまあるい頭。まるっこい後頭部と襟足が可愛くてニマニマします。感情無くなると目から光が消えるところもよい。終盤は終始目に光が入ってキラキラしているのが感慨深かったです。
あとあれですね、隙あらば紺ちゃん(さん)に突っ込みかねないグイグイ感(ナニとは言わない)とーってもよいですね(ハイ台無しー)
小冊子のお洒落でゆるい雰囲気も好き。本編の余韻に浸りたい方はそちらもあわせておすすめです。
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