てっぺんぐらりん~日本昔ばなし犯罪捜査~
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てっぺんぐらりん~日本昔ばなし犯罪捜査~

キリエ

本当は恐ろしい日本昔ばなし

ネタバレ
2025年4月29日
このレビューはネタバレを含みます▼ 私たちに馴染み深い日本昔ばなし。それは単なるお伽話ではなく、実は数々の異常犯罪の記録だった、という設定のミステリー。

こういう特殊な設定の刑事物は大好物です。主人公は子供の頃何者かに父親を殺された過去を持つ桃生。そしてもう一人、昔ばなしに詳しい変人教授の太郎。この二人がタッグを組み、巷で起こる異常すぎる事件に挑んでいきます。
凄惨な事件の裏にはどれも、人間社会に紛れた“人ならざる者”が関わっている。桃生が内に秘めていた“彼らを見分ける能力”、そして太郎が語る様々な昔ばなしの内容を鍵に、事件を解き明かしていくという流れ。
さらに桃生の父親を殺害した未だ捕まらない犯人の顔、実は幼い頃の桃生には“鬼”に見えていた。つまり、その事件を引き起こしたのも“人ならざる者”…。

新しい切り口のミステリーですごく面白かったです。登場人物たちも魅力的。新人刑事なのに上司よりもベテラン感ある風貌の桃生、そして飄々として捉えどころのない太郎。
テーマ的に残酷なシーンも多い本作ですが、桃生と太郎の凸凹コンビのやりとりが面白く、変な所でクスッとしてしまった。そこに犬・猿・雉をイメージした仲間たちも加わることになり、まさに桃太郎の鬼退治です。
ちなみに表題の“てっぺんぐらりん”とは、“めでたしめでたし”のことだそう。
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