夕凪の街 桜の国
」のレビュー

夕凪の街 桜の国

こうの史代

『夕凪の街』は星を付けることさえ憚られる

ネタバレ
2025年5月3日
このレビューはネタバレを含みます▼ 個人誌発表の『夕凪の街』を読んだのはもう一昔前になります。
これは本当に本当に鬼気迫る作品で、著者が「なにかに描かされた」のではないかと感じる、鎮魂ですらない、ただただ涙が止まらない、声にならない叫びのような……戦後に生まれ、広島から遠い地で生まれた自分には、この作品をダシに何かを賢しらに言うことは許されない、ひたすらに手を合わせて何かを祈ることしか許されない、そんな碑として存在しています。
一コマ一コマが、台詞のひとつひとつが、圧倒的です。
賞賛の言葉も、星評価も、この作品には相応しくない。ただ厳然とここに在る、それだけ。
〜〜〜〜〜
一方、『桜の国』は、これは著者の意志が見える鎮魂的側面もある(と思う)作品で、こちらも良作ではあります。
しかしながらこちらは私の個人的なド地雷を踏み抜いてしまいまして、この作品以降、著者作品に手が出せていません。星のマイナスはこちらの分。
……私、「子供が親を選んで生まれてくる」っていう思想を良い話として混ぜ込まれるのが本っっっ当に苦手で……たとえそれが事実であっても絶対に認めたくないっていう……。
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