このレビューはネタバレを含みます▼
大学3年生の林下渉は､新歓コンパで新入生の石井宗馬と出逢います｡イケメンの石井が､女の子からの質問にあっさりゲイだと返すのを聞いて､バイの渉はワンチャンあるかも?なんて考えます｡でも｢オレ今彼氏いるんで｣とバッサリ切り捨てられるのでした｡3ヶ月後､渉は彼氏にフラれてベロベロに酔い潰れた石井を介抱する羽目になります｡高校の卒業式で記念告白した石井は､まさかのOKで片思いの相手と付き合い始めたのですが､やっぱりそっち側じゃないみたい､好きな女の子ができたからと4ヶ月でフラれてしまったのでした｡渉もかつて新入生の頃に高校時代から付き合ってきた彼氏にフラれて今だに引きずっていたので､石井を苦手に思いながらもその辛さに共感します｡その日はキス止まりで酔った石井は全く覚えていなかったのですが､そこから二人の距離がぐっと近づいてゆきます｡フラれた元彼を嫌いになれない石井の幼さと不器用さを､2つ年上の渉が一生懸命に受け止めようとする健気さが切ないです｡簡単には忘れられない､割り切れない､別れた相手への想いは､石井と渉が身体の関係を持つようになってもモヤモヤとわだかまります｡前の恋の終わりと新しい恋の始まり､それぞれに付きものの期待と不安､焦燥と高揚､ドラマティックではない大学生の恋のリアルが細やかに描かれていました｡
レビューをシェアしよう！
ERR_MNG