婚約破棄された悪辣オメガは義兄公爵に執着される
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婚約破棄された悪辣オメガは義兄公爵に執着される

滝沢晴/奈良千春

鈍感さも才能のうち?微笑ましいすれ違い

ネタバレ
2025年5月6日
このレビューはネタバレを含みます▼ 恋愛ものとしても、ちょっとしたミステリーとしても、読み応えがあってとても面白かったです。それもそのはず…ミステリーというか事件に関しては、先生の実経験が元になっているそうで、かなりリアリティがありました。

悪辣のはずのユリウスが、伊勢崎秀一の記憶が戻ってからは人が変わったように常識人になって、それはそれで騒ぎを起こすのが楽しかったです。特に「俺はね、曲がったことが大嫌いなんですよ」というセリフには、小説内の誰よりも私が驚いたし、「あなたが言う!?」と瞬時にツッコミを入れてしまいました。

真っ当(普通の人)になってからのユリウスは、恋愛に関して素直だし、どこまでも鈍感な所が可愛く思えました。これについては、侍女のパウラが「鈍感の才能がある」と評していて、言い得て妙…これ以上ない的確な表現に笑ってしまいました。

ラファエルに関しても恋愛面ではユリウスと似たような感じで、相手からの好意だけでなく自分の気持ちにさえ気付けていなかったので、鈍さではユリウスの上を行っていたと思います。でも、スパダリ・溺愛・執着攻めとしては、鈍さもマイナスどころか逆にプラスイメージになる不思議な作用でより素敵に見えました。

獣人のティモの存在感もストーリーには必要不可欠な存在で、可愛さでも賢さでもキーパーソンの役目をしていたと思います。

あとは、読み始めてからずっとある疑問(なぜ次男を養子にもらうのか?という謎)がありました。それは多分皆さんが感じるものでもあると思いますが、最後の方できちんと回収されるので気にせず読んでもらいたいです。

高評価も納得の面白さでした。
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