病める惑星より愛をこめて
」のレビュー

病める惑星より愛をこめて

本田

もふ生物の見た目と名前は良い(1巻のみ)

ネタバレ
2025年5月8日
このレビューはネタバレを含みます▼ もふもふとSFという設定にひかれて読みましたが、作者さんの感性が捻くれ者には合いませんでした。
私はどちらかと言えば「死にたい気持ち」がわかる側の人間で、「自死」をそこまで否定的に考えていませんし、キリスト教的「自死の否定」に、強者の傲慢や死者に鞭打つ残虐性を感じるタチです。
なので、「病んでいるから自死が増える」というように描かれているのにはいささか閉口しますし、自死者側の心理がほぼ描かれていないのにも不満があります。「病める人」の事情や気持ちの深掘り的ヒューマンドラマを期待していたため、拍子抜けでした。全体的に物事の捉え方にあまり多面性を感じず、そういう世界観でのSF設定というのは、あまり自分の満足のいくものにはなりません。なので1巻で脱落です。
そして、モカリノタマラピッの「強力な癒し効果」というのも、1巻段階では「強力……とは……?」ってなる程度で……「感情がない」って言い切られているのも、わからないものを切り捨てる精神性につながるので好きじゃない。「もふもふで癒し効果があって言語能力が下がる」という設定は、実際の犬や猫の誇張表現として面白かったです。
一番趣味に合わなかったのは一話目で、子供を持つ身としては、あのお母さんには後を追わせてあげたかった……子供を置いて親が先立つのと、親が子供に残されるのは、全く違う。「家族に先立たれた」という括りで同じ立場っぽく良い話っぽくまとめられてしまっていて、とても悲しかったです。
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