木陰の欲望【単行本版(電子限定描き下ろし付)】
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木陰の欲望【単行本版(電子限定描き下ろし付)】

暮田マキネ

作者買いです

ネタバレ
2025年5月8日
このレビューはネタバレを含みます▼ 緑の鮮やかな表紙に意味深なタイトル。鼎と瑞希の複雑な想いが、拗れに拗れて、どうしようもなくなって、もう壊すしかなくなって、それでもそこから恋人として再構築していけたのは、2人が長年共に過ごしてきた年月の成せる業なのかなと思いました。
「お前がこの世の全てだ」と言わんばかりに求めてくる鼎を、最初はそれでは鼎の為にならないと距離を置こうとした瑞希でしたが、最終的には自分の心にも素直になって受け入れた瑞希。初めては無理矢理でしたが、このシーンは瑞希可哀そうだったけど、必要だったなぁと思いました。これを許せるなんて、どんだけ鼎を愛しちゃってるんだって話ですよね。16歳にして恋愛感情とか超えてる感がある。2回目のエチシーンもぎこちなさや余裕の無さが、高校生らしさや2人の関係を表していてとても良かったです。
もっとドロドロするかと思ったけれど、鼎が生い立ちのわりに割とまともに育ったせいか、この手のお話にしては読後感が爽やかでした。木島や瑞希家族や信二たちを始め、両親以外の人間には恵まれたからかもしれません。もっと歪んで闇落ちしていたらと思うと、ちょっとそういうのも読んでみたい気もしますが、この2人は可愛い共依存状態で幸せになってほしいので、木陰程度の暗がりが調度良いんだと思います。
あとがきで、受け攻め逆をイメージしていたという感想が多かったと書かれていて意外でした。鼎のような必死過ぎて可哀そうになってくるような攻めが、母なる大地のような受けの愛に包まれて満たされる構図が大好物なので、逆じゃなくてラッキーでした。他の方のレビューを拝読したら、こちらの作品にはスピンオフがあるとのこと。そっちも読んでみようと思います。
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