このレビューはネタバレを含みます▼
なくし物が必ず見つかるという“うせもの宿”。そこを訪れるのは、何かを探してはいるものの、それが何だったかさえ忘れてしまっているお客たち…。
案内人のマツウラに導かれて宿にたどり着くお客ですが、実は皆すでにこの世の人ではありません。女将さんとの交流の中で自らの“うせ物”、つまり“現世への未練のもと”を探し出し、昇華させることで彼岸へ旅立っていきます。
逆に“うせ物”が見つからなかった者たちは、宿の従業員としてそこに留まることに。見つかり次第、成仏することが出来るのです。
そして後半に明らかになってくる女将さんとマツウラの関係。何とも切なくてじわっと涙が…。
前半は静かに時が流れるようなあたたかい雰囲気を感じ、後半はまさかの展開に不意打ちを食らわされました。