朧の花嫁~かりそめの婚約は、青く、甘く~
」のレビュー

朧の花嫁~かりそめの婚約は、青く、甘く~

いなせ多希/みちふむ

同ジャンルの物語の中で一番好き

ネタバレ
2025年5月14日
このレビューはネタバレを含みます▼ 他の漫画サイトさんで紹介されており、とても気になっていた作品。シーモアさんでも発見したので、早速拝読してみました。
大正時代の函館が舞台。ヒロインである元華族の伊知地家の娘・清子は、顔に大きな痣がある女性。器量良しにもかかわらず、周りはおろか、家族にさえ疎まれていました。
ある時彼女は妹の身代わりで見合いをすることになりますが、お相手の男性・岩倉朔弥は、何と盲目…。

同系統の作品はすでに数え切れないほどありますが、こちらは“異能”など特殊能力系が一切絡まない、至って普通の女の子が歩む王道のシンデレラストーリー。
こういった物語はファンタジー要素のあるものよりも、個人的にはこの作品のような日常風のお話の方が好みです。登場人物に感情移入しやすいからかもしれません。そして清子も朔弥さんも、二人とも身体的にハンデを持っているというあまり見ない設定にも興味をひかれて。
昔の時代は、顔や身体に大きな痣があるだけで気味悪がられ、迫害されることもあったと聞いたことがあります。物語冒頭の清子に対する周囲の酷い仕打ちには、はらわたが煮えくり返りそうに。彼女には何も非がないのに、もう可哀想で可哀想で…。
そんな環境のせいで自己肯定感が低かった清子ですが、もともとの気立ての良さと頭の良さで朔弥さんの心をほぐし、徐々に自らの運命を切り開いていきます。
意地悪な登場人物は多いけれど、岩倉家の使用人・瀧川さん始め、清子の理解者も少なからずいてくれるのが救い。
たびたび降りかかる苦難に負けず、朔弥さんと幸せになって欲しい…。
絵柄からほんのり感じるあったかさも相まって、私は同ジャンルの物語の中ではこの作品が一番好きです。
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