このレビューはネタバレを含みます▼
生前葬を希望する明星の「死ぬことにも多様性を認める」という表現にハッとした。彼は自分で死の期限を決めることで不確かな死への恐怖を克服し限りある生を満足いくまで味わおうとしている。言いたいことは理解できる。ただ、明星がそういう考えに至った理由は家族を全員を事故で亡くしてサヨナラも言えない別れを経験したから、というのは悲しすぎる。でも、その時に絶望して自死を選んだりせずむしろ自分は死をコントロールしてやる、と思えるのは強い人だなと思う。でも、そう決断できるのは将来に希望を持ったり未練を感じたりすることがないからだと思うとやっぱり悲しい。
涙もろくてすぐ感情移入してしまう葬儀屋さんの久永。確かにお葬式は悲しい、でも悲しむ人がいるお葬式というのはその人が愛されていた証でもあると思う。どれだけ長く生きても大切な人の死が悲しくなくなる訳ではないけど、毎日を大切にすることで悲しい死に負けない人生が生きられるのではないかな。実践するのはとても難しいと思うけど・・。「明日死ぬように生きよ」ガンジーはそういうつもりで言ったんじゃないかもしれないけど ふと思い出しました。