いびつなボクらのカタチ【合本版】
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いびつなボクらのカタチ【合本版】

見多ほむろ

作者買いです

ネタバレ
2025年5月22日
このレビューはネタバレを含みます▼ 血縁や戸籍など関係なく、家族と呼べる人がいることの素晴らしさに気付かされる良作です。見多先生の最高に魅力的な絵で、こんなに素晴らしい作品を読むことができて幸せでした。
私は最初、誠二が伊吹にしたことが、いくら娘を守りたいためでも酷すぎると思いました。酷い人認定して読んでいたので、舞花に伊吹を守るよう指切りして約束しているのを見ても、伊吹に自分みたいな男が近づいて利用しようとすれば娘も巻き込まれるから、娘のために言ったのだと思っていました。しかし、誠二の一番守りたかったのはもちろん娘だけれど、同時に伊吹も守ろうとしたのかもしれないと思えてきて、もう一度読み返したら、誠二がめっちゃ良い人だということに気付きました。舞花の観察眼は父親譲りなんだなぁ。ずっと伊吹を近くで見てきて、彼なら舞花と本物の親子になれると思ったから、2度も愛する人を失うという経験をさせることになっても、伊吹に舞花を託したんだ。伊吹が自分を蔑ろにしがちで、自分を責めてばかりなところも心配していて、舞花を育てることで伊吹自身が救われることも願っていたのかもしれない。自分では薄情だと言っているけれど、的確に状況判断して、情に流されない選択ができるというだけで、決して冷酷な人ではないんだと思いました。パパを守るという使命の元、舞花も強く逞しく優しい子に成長したし、誠二がどこまで見通していたか分からないけれど、あの世で大満足しているのではと思います。
辛い事が多かった伊吹と舞花だけれど、結果として阿部親子と出会うことができた訳で、舞花が結婚するまでの15年間は描かれていませんが、きっと4人にとっては大変さなんて吹き飛ぶくらい喜びにあふれた日々だったのだろうと思います。ラストで佑真と伊吹の指輪の位置が違ったのは意味があるんだと思うんだけど、佑真は右手薬指にしているのに、伊吹が左手中指にしているのは周りに恋人がいることを言っていないからってことなのかな?余分に取ってくれた5分間の式場で指輪をお互いの右手薬指にはめ合ったのかな。誠二の過去や阿部親子の事情も知りたいし、色々種明かし的な続刊出てくれないかな~。
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