このレビューはネタバレを含みます▼
とある令嬢を堕とすため、淡々と任務をこなすニールの【嘘】がだんだんと意思を持ち、愛を生み、憎しみを断ち、【真実】となるまでを描いたストーリー。
ニールは過去に酷い仕打ちを受けているので、辛さを感じないよう感覚をわざと鈍くしています。その感覚をリリーに出逢ったことで取り戻していく過程がとても良かった。痛いことを痛いと言える感覚。辛いことを辛いといえる感覚です。一方リリーは申し分なく愛されてきた上に、本人の持つ優しさゆえに言いたいことを主張できない女性でしたが、自分の中の欲に気づいてあがき出すあたりから、人としての魅力が出てきます。
琴線に触れたのはやっぱりラストシーンでニールがリリーを助けに向かう時に震えてるところです。男らしく颯爽と助けに来てくれるのではなくて、震えながら助けに来るニールには今までにないヒーロー像を感じました。私も愛する人はスーパーマンじゃない方がいいと思っている派です。
あと後日談もしっくりきたし、悪役の背景までしっかり描かれているのも好みです。読み放題。