緑の風に君をひらく
」のレビュー

緑の風に君をひらく

青井秋

やはり良い…

ネタバレ
2025年5月27日
このレビューはネタバレを含みます▼ この作者さんの作品はハズレ無し!今回も堪能させていただきました。どなたかレビュアーさんも書いてらしたけど、良質な小説を読んだ気持ちになりました。鬱蒼と木が茂る大きな庭がある古民家に、庭木の剪定に訪れた造園業の庭師と、その庭の持ち主で主人の児童文学小説家のお話。
小説家は庭の葉ずれの音や茂り過ぎた木々のせいで暗くなることが嫌で、庭のシンボルである木の抜根を依頼するが、庭師のそれぞれの木やそこに来る鳥たちの話で思い留まり、そしてその庭師の話にも興味を抱く。最初はあまり意思の疎通がうまくいかなかった2人が、それをキッカケとして徐々に信頼する関係になっていく様が丁寧に描かれて、多分ノンケであろう2人が心寄せる存在になっていくのが不自然じゃなくてよかった。
この作者さんは本当に絵が素敵で、上手いという一言では言い表せない画力の方。個展を開いたなら絶対に行きたい!お話も、静かな中にも情熱があり、読んでいると小説家が住む古民家の縁側で感じる風とか、葉ずれの音とか、鳥の声や部屋の奥の何とも言えない涼しさとかを感じることが出来る。きっと2人は小説家が書いた作品の灯台守と旅人のように、その後も仲良く静かにその家で暮らしていくんだろうな、と(まだ同棲してないけど)そうだったらいいなと思いました。Hシーンはなし。キスだけです。それでよい。
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