風の色まで憶えてる
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風の色まで憶えてる

覚えじゃない、憶えだ。

ネタバレ
2025年6月11日
このレビューはネタバレを含みます▼ なんて純粋なふたりなのだろう……新刊で試し読みをした際、腐り切った婦人にはあまりにも清く正しく美しく、少々健全すぎるのではないかと気後れし、続編が出るまでステイしていたこの作品ですが…
実はとんでもねーR指定ポテンシャルを秘めています。
購入するには至らずともどういった作品なのか気になって、まずは太っ腹な作者さまがSNSにて公開されている断片的なその後を舐めるように拝読。2人の“その先“がラブラブエチエチであることをきっっっっちりと見極めたうえで、そして濃度が増すであろう続編への道筋が立ったところで今回納得の1巻購入と相成りました。先生、素晴らしいマーケティング戦略です。

内容も、高評価な皆様方の物語る通りに素晴らしく…そもそも絵柄が耽美的だから?儚げな思春期の恋模様にすっかり魅了され、ドキドキもだもだ鼻息ふんふん、最後までずっと飽きずに楽しませていただきました。しかし、無事くっつくとわかっているのになぜこんなにもこの作品に心惹かれたのか?
恋に落ちたあの瞬間の風の色まで憶えている、美津留の誠実さにノックアウトされたからだろうか?
澄み切った色気の底に魔性さえ感じられる一種独特な静一の透明感に、腐性をすっかり清められたからだろうか…
決定的なエチはないにしても、思った以上にエロかった。
行為そのもので説明するより、行間で色気を語る大傑作。これから…というところ、後ろ髪のひかれるような終わり方がなんともニクいです。

描き下ろしも良かった!
初めてのプリクラ撮影にて発生した、よそのカップルとのプチ交流。慣れないポーズに頬染める静一と、スパダリに成長する予感しかしないコミュ強な美津留。
互いをこれだけ大切に想っている2人を目の前に、親切にできない人間なんて存在しませんよね。
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