1945シリーズ
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1945シリーズ

尾上与一/

1945シリーズのとりこになりました

ネタバレ
2025年6月15日
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天球儀の海/地方の旧家、離れに暮らす養子にきた若い男、冷酷な振舞いの跡取り息子。そして特攻の出撃までの残り時間は… なんかゾワゾワする流れと思ったらなんとも残忍な事件が起きます。とんでもない凶行なんですが、そこには隠された意図があって…というお話。ある人が犯人の真意に気づくところは心に染みる場面でした 年月を経てもうひと展開あり、結末は甘かったです
作品の前半で幼い子が海辺で遊んでいて危険な目にあうエピソードがあります この時の最悪の「もしも」がそのまま事件の隠喩になっていて、全部読み終えた後思い出して「ああぁっっ!!」となりました。

碧のかたみ/ワルガキがパイロットになったような恒と、恒に振り回されつつ惹かれていく相棒の六郎。ケンカと懲罰の絶えない日常や南の島の基地での暮らし、空での戦いぶりなど読み応えたっぷりです BLの面でもはんぶんこして食べるパイン缶、雲の上の星空、手作りの線香花火、鼻歌の「星めぐりのうた」等キュンとなるシーンの宝庫なんですがさらに!
「俺はもう俺の一番を決めたからいい」
「…撃ち墜とされた気がする」
「恋心だ、馬鹿」
等々、おノロケやおバカも含めてこれでもかと甘いセリフの数々が投入されています。試練も次々に訪れるし、《その後》の日々には葛藤や苦しみもあるかもですがひとまず、青春のキラキラと恋の甘さ、2人の強い気持ちが印象に残る作品でした。

蒼穹のローレライ/塁がやっと望んだ夢は好きな人と穏やかに暮らすことーそんなささやかな夢すら持てなかったんですよね 塁の戦いと叶わなかった夢を思ってせつなくて泣きました。
U字部品はノンフィクションかと思いましたがあとがきにも特に言及はなかったです けれど作者様が多くの資料にあたり、体験者の話を聞く作業をされたと解りよかったです。当時のラバウル基地や日本の空気を吸っているかのような、充実したシリーズだと思います
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