やさしいミルク【電子単行本】
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やさしいミルク【電子単行本】

高田ローズ

切ない空気感がたまらない

ネタバレ
2025年6月15日
このレビューはネタバレを含みます▼ 胸を鷲掴みにされました。すごい作家さんがいた。設定がとにかくいい!自分の経験を小説にする赤裸々感がいい。葛藤、悩み、不安と色んな心情が細かく描かれている。匂いの表現がいい。東雲のタバコと金城よミルクの匂い。全く違う匂いでの表現。匂いって脳に記憶を呼び起こすものだから思い出とか忘れられないよね。ましてや寝室でタバコの匂い。離れても忘れらない、一緒にいた時をおもいだしてしまうから切ない、、、。
作家のよもぎは元カレ編集者の東雲と別れてからも相談、信頼、依存、身体の関係をもっていたが、東雲との別れで彼女は殻を破るキッカケにになる。人が変わる時はポジティブな感情より『もういやだ』というネガティブな感情がチカラを発揮すると感じる。
そんな寂しいときに抱き締めてくれたのが家政夫兼女風セラピストの金城。過去に暗い過去がある彼、美しいが影がありミステリアス。だめだと思いつつ惹かれていく。すごく美しい。だめだという言い訳はいくらでもできる、でも名前の無い関係が心地よいのも納得。
東雲は作家として育てたよもぎをとられるのが嫌なんだと思う。別れておいて勝手な男だ。愛以上に作家としての、よもぎを大切にしてるんだろうけど独占欲が隠しきれない。
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