このレビューはネタバレを含みます▼
どこか「白草の裏庭」に近い雰囲気と思ったら、同じ作者様でした。どちらも紙面から風の音や緑の香りが立ち上がって来るようで、その空間に導かれたような錯覚。
童話作家の倉岡は、父の古い家を引き継ぎ、あまり良い思い出のない荒れた広い庭に庭師達を入れます。さして植物に関心を向けぬ倉岡に庭師の錦木は庭の美しさや木々の魅力について熱く語り、さらには倉岡の本を読んだりして、互いの世界に興味を広げていきます。
あともう一歩という手前で、なかなか進展しない倉岡は恥ずかしい?奥手なの?そんな彼が年齢関係なく可愛いですね。 錦木にすれば、こういう待つ時間って、砂時計を置いて茶葉の開きを待つ感じかしら? それとも、どの枝を剪定しょうかと思案するひとときかな?
我が家の庭には実のなる木々は皆無ですが、ギーゼンベルトさんの影響でハーブを植えました。 二作品共に、植物や人生への知識が深く、読み返す度に豊かな気持ちや楽しさを与えてもらいます。 二作品共に、好きなレビュアー様から教えていただいたもの。 私も又、タッチと感謝と握手を送ります。