このレビューはネタバレを含みます▼
幼馴染の海斗に長年片思いしている文哉。親の奔放な男女関係のせいで恋愛にいいイメージがなく恋を信じられない海斗。恋愛がちょっと苦手な一花。文哉のおじいちゃんが営んでいる喫茶店の常連、有島さん。海斗と一花の大学の先輩で剣道部の陽キャの諒くん。
みんな一方通行の片思いで、切なかった。とくに文哉は、色々考えて先回って気づいてしまうタイプなのか、おばあちゃんの介護の事とか、小さい兄弟のこと、家のことで一浪したとか、海斗に対してもなかなか片思いを拗らせてしまって、付き合うってなってからの疑心暗鬼、遠慮、「付き合ってもらってる」がすごくて、かなりしんどかったです。
対して、海斗は育ちのせいもあってか、男女関係に関しては、ゆるゆるで子どもで、文哉に対してもワガママで。最後は、そんな海斗が色々な愛の形に気づくお話で、海斗が主人公という先生の後書きも納得でした。
そして、個人的は有島さんに助演賞をあげたい!大人としての立ち振る舞い、文哉への距離の詰め方、海斗への牽制の仕方、引き際が完璧だった。
あと、一花がすごくいい子!BLに出てくる女の子がいい子だとすごく嬉しい。
群像劇で、それぞれキャラクターの視点で描かれていて、色々な考えや感情が見えてとても良かったです。
描き下ろしの「3年後」が、映画のエンドロールみたいで、すごく好きだな、と思いました。