坂の上の魔法使い
」のレビュー

坂の上の魔法使い

明治カナ子

2周目からがより泣ける……※微ネタバレ?

ネタバレ
2025年7月6日
このレビューはネタバレを含みます▼ 往年の名作を読もう月間!ということで、レビュー評価が高く以前から気になっていたこちらを手に取りました。

魔法使いが出てくるファンタジーですが、BLによくある魔法と剣のファンタジーとは少し異なり、どちらかといえば私が幼い頃に読んでいた外国の児童向けファンタジー文学(レイチェルシリーズなど)に近い感じで、設定としてかなり練られているなぁという印象でした(それぞれの国の文化や慣習など)。作画もシュッとした線じゃないのがよりファンタジー感を強めててよかったです。

作品としては主人公のラベルと養い親の大魔法使いリーの日常生活が主に描かれていく中で、リーの過去が紐解かれ、その過去と現在が繋がってストーリーが展開していくのですが、最初に読んだときはBLらしくはないストーリーを追うのに精一杯でした。でも、2周目からはすべてを知った上で読むことができるのであれもこれも全部「愛じゃん……」になってくるんですね……。
ラベルとリーの師弟愛(いっそ親子愛といったほうが的確かも)はもちろん、王とリーの叶わなかった愛(いや叶わなかったとしてもお互いに確信はあったんですけども)、王妃から王へ、王からラベルへの親から子への愛情、そして王とゾラの愛情と絆、もうそれらすべてが胸に迫って1周目では全然だったのに2周目からはボロボロ泣いてしまいました。
何よりラベルが主人公であるラベルが可愛くて愛おしくて、そういう造形になっているからこそリーがラベルを自分の命より大事に、でもラベルを守り抜くために自分の命を惜しく感じる切実さが強く伝わって、終盤で瀕死のラベルを胸に抱くシーンなんかはもう、涙が止まらず……親の愛じゃんそれはもうさ……!!!
確かに作品全体としては恋愛描写、性描写のようなものはかなり薄く、BL?とはなるかもしれませんが確実にBLです。ラブです。恋と愛の話なんですよ。

初版は15年ほど前、往年の名作とはこのことだな、と実感しました。まだ読んだことのない方にはぜひ、ぜひ読んでいただきたい!!!素晴らしい作品でした。
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