特級αの愛したΩ
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特級αの愛したΩ

神波アユミ

辛いけど…

ネタバレ
2025年8月3日
このレビューはネタバレを含みます▼ 特級αとΩの同級生が学校で出会い、普通に恋をして、結ばれる…そんな平凡なお話なら本当に良かった。

劇重設定だけど、透明感のある物語。αくん、Ωくんともに特殊な状況にいる中、どちらも変に擦れたり拗らせたりしていないところがとても魅力的。
クズ教師がなんでΩくんを…とか、トラウマを抱えたΩくんがなんで代理出産に臨むの?…とか、1巻には到底収まり切らないような要素がモリモリなので、一つ一つのエピソードがあっさり淡々とスピーディーに進んでいく。正直、もっと深堀りして丁寧に描いてほしい場面もあったけれど、淡々としているからこそ劇重エピソードを受け止めつつ最後まで読める。何より、この作家さんの描写表現力はマジで神懸かっている!!
キャンバスをホワイトで上塗りする話が、後のΩくんのトラウマ克服の伏線になってるところとか(読み手によっては、トラウマを軽く扱い過ぎでは?と賛否両論ありそう)、αくんのお陰で「身体が細胞から作り替えられたみたい」と感じられたりとか、単なる上塗りじゃなくて修復しながら未来に進もうとしている2人にグッときた。そして、同級生の子が怒りながら涙の鉄拳を振るう場面は涙が出た。これはもう、この作品を冒頭から読んできた読者達の心の叫び!!(よくやってくれた!!!)
終盤、αくんへのプレゼントに書かれた文字とか、カメラとか…全編通して、作品を深く理解するためのヒントが散りばめられている作品なので、自分はいくつ見つけられたかな?と繰り返し読み返したくなる。
サイン会に届けられたお花(大和&ウッチー)にもキュんとした!
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