みいちゃんと山田さん
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みいちゃんと山田さん

亜月ねね

考えさせられる

ネタバレ
2025年8月5日
このレビューはネタバレを含みます▼ 最初は身の程知らずなみいちゃんに少しイライラしながら読んでいたが、それだけでは済ませられない、考えさせられる内容。
自分の負の特性を、正面から向き合って認めて受入れて付き合っていくというのは、けしてみいちゃんだけの問題ではなく多くの人にとっての課題だろう。
おそらくみいちゃんと同程度の知的レベルと思われるムウちゃんとの明暗差が印象的。自分の特性を素直に受け入れ無理せず楽しんで生きていける居場所に落ち着けたムウちゃん。それは山田さんの独白のように出会えた環境や人の差だろうか。それとも本人の性格の差だろうか。
子供の頃のエピソードで、みいちゃんの特性を理解し、唯一福祉に繋げようとしてくれた先生とそれを拒絶する母親や祖母が対比的に描かれていたが、今ではその先生の「絵かきさんや小説家になるかなー?」という無責任な励まし提案がみいちゃんの自意識に根付いていて、逆に福祉に繋がる妨げになっているというところも、なんとも皮肉で心苦しい。
みいちゃんにかけてあげたい言葉が沢山ある。しかし、みいちゃんくらいの知的レベルの人間にどう言えば伝わるだろう。理解され、その理解が記憶に根付くだろう。
知的障害だけでなく、子供や老人にも言えること。

読みながら、社会福祉について思考の尽きない良い漫画だと思う。
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