エスケープジャーニー
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エスケープジャーニー

おげれつたなか

現実的で非現実的なハッピーエンド

ネタバレ
2025年8月15日
このレビューはネタバレを含みます▼ 丁寧に丁寧に描かれた素晴らしいBL作品。綺麗に終わる現実ってそうないけど、でもBLを使って綺麗事のままにしない恋愛関係とその先をしっかり描いていて凄くよかった。そして、BLだからこその良さをフルで活かしていたので、素晴らしいとしか言えない。ポップな表紙だけど、中身がしっかりしていてそのギャップがまたいい。魅力的なキャラ達もストーリーが重くなりすぎないようにしてくれているので、サラサラっと読めました。10代後半から20代くらいがブチ当たる現実問題、自分達のことしか考えてなかったけど大事な人に自分達の関係を受け入れて欲しい。そうなったら、もうただの身勝手な子どもではいられない。よくあるのは結婚の段階で男女ブチ当たる問題、友人関係でも知人関係でもブチ当たる問題でもある、結構現実的な問題だなと。作品はBLなので男同士の恋愛とその先。養子縁組って簡単な言葉で終わらせている作品はよく見るけど、それって簡単に聞こえて直人母が言うようにある意味で残酷なことでもある。本当に一緒にいるのが当たり前になって周りの目が気にならなくなったり覚悟が出来たその時に、と言うのはベストだと思った。1巻では名前のない関係に「愛」を結論付けて、でもそれだけでは終わらない。「一緒に生きるってどういうことか」が、深い。普通の幸せ、普通の現実。友達、恋人、知人、家族、その他…当たり前に自分の好きな相手と一緒にいることって自分達だけの世界のことだけ考えても上手くいかない。いい大人にとったらそれは当たり前に経験してきた事実で、上手く行かなくて当たり前のことで、誰しもが諦めた過去がある。好きなだけでは一緒にいられない。大事でももう付き合えない。それは、どんな関係性でも悲しいけど現実。それを乗り越える人もたくさんいるわけで、非常に現実的な非現実をBLバージョンで3巻に渡って描写していて、その質の良さにもう泣きながら拍手するしかない。さすが、おげれつたなか先生です。大学生ってのがまたいいですね、高校生ほど子どもじゃなく社会人ほど大人じゃない、中間地点でこの物語を描いた。「本当にいいBLはレビューなんて書かずにただ黙って買う、だがレビュー書かずにいられない」です。そして相変わらず、見開きで魅せるのが上手い作家さん。電子版のいいところって、タブレット横にして綺麗に漫画の見開きを見れるところ。ありがとう、今の時代…!!
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