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三上志乃

スズランの花言葉

ネタバレ
2025年8月17日
このレビューはネタバレを含みます▼ 名家の次男である巴は小さい頃から優秀な兄と比べられ劣等感を抱いて育った。優しかった母は自分のせいで(と思い込んでいる)死んでしまい、心が壊れかけた時に世話係としてやって来た南雲と出会う…。

父と兄は極悪人とまでは言わないけどいけ好かないです。ただ兄のように優秀ではなくても母の愛情をたっぷり受けている弟を羨ましそうに見ている幼い頃の航の姿や、暗い部屋で航に積年の思いを話そうとする父のシーンなどが、2人を決定的に嫌いにはなれなくさせます。

巴と南雲の心情表現も見事で、お互いに惹かれる理由が心から納得出来るから応援したくなる。それでも南雲からの告白は結構驚いた。だって父に雇われ巴に仕えている身だよ。普通ならこちらが身を引きそうなところ「2人で家を出ませんか」って、お、男らしい!それに対し離れようとする巴の気持ちも分からないでもないから...すれ違いが苦しかった。

ちょっと荒削りな絵柄も、やや緩急が激しく感じられる部分(ホテルでの突然のHとか)もデビュー作ならではって感じですが、それでも主要登場人物の心の機微を丁寧に描いていて、大ヒット中のピットスポルムよりこちらの方が私は好きです。

話数の数え方も素敵。
ピットスポルムも似たような感じですよね、植物お好きなんでしょうか。
クリスマスローズの花言葉は切なかったけど、ラスト幸せそうに笑う2人の背後に咲いているスズランの花言葉は…今の2人にぴったりですね♡
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